ここでは、愛知県の県庁所在地である名古屋市と、青森県の県庁所在地、かつ日本本州の最北端に位置する都市、青森市の都市間移動についてみていきます。両都市間は約1080km離れており、移動手段は新幹線と飛行機の2つが上げられます。夜行バスは運行していません。ここでは、2つの移動手段について、それぞれ比較していきます。
東海道新幹線・東北新幹線
![]() ![]() | 名古屋⇔東海道新幹線⇔東京 ⇔東北新幹線⇔新青森 ⇔奥羽本線⇔青森 | 40,640円(グランクラス) 35,400円(グリーン) 25,670円(指定席) 24,930円(自由席) | 5時間58分 |
はじめに、日中の鉄道の移動について比較します。この場合、新幹線で移動しますが、名古屋東京間を東海道新幹線、東京新青森間は東北新幹線「はやぶさ」を利用します。また、新青森青森間は在来線に乗り換えて移動します。運賃は最安値で24,930円です。これは自由席を利用した場合ですが、東北新幹線の「はやぶさ」は、指定席の料金を合計したものです。自由席と指定席で料金の差額が少ないのは、速達列車である「はやぶさ」には、自由席が設定されていないのが理由です。自由席のある「やまびこ」は盛岡までの運行なので利用できません。移動時間は、最速達の列車で約6時間です。移動時間が長いのは、距離が1,000km以上なのが理由と、宇都宮盛岡間は320k/hの速度で運行しますが、盛岡新青森間は最高速度260k/hで運行されるためです。現在速度向上のための改良工事を行っており、2027年には320k/hでの運行が可能になり、5分短縮される予定です。なお、「はやぶさ」の盛岡以北は停車駅が増え、各駅に停車するものと、八戸と新青森にのみ停車する列車があります。前者に乗車すると、上記時間よりも、さらに移動時間が長くなります。運行本数は、いずれも1時間に1本以上は運行されているので、本数については問題ありません。
割引切符についてですが、学生割引(2割引)を除くと、この区間の割引切符はありません。JR東海、JR東日本の2社をまたぐ割引切符が存在しないのが理由です。強引なやり方を使えば、東京名古屋間は、早特やぷらっとこだま、東北新幹線はトクだ値を利用することで安くできます。ただし、割引切符とはいえ、乗換駅で新規の切符を購入すると、通して購入する場合に比べて、割高になってしまうケースがあります。また、乗車する列車が指定されることが多い割引切符では、乗り換えで、次の指定された列車に乗り遅れた場合、その切符が無効になることがあります。例えば、東海道新幹線が東京駅に遅れて到着、その次の列車に乗車できない場合、東京以北については、新たに切符を買いなおす必要がでてきます。これは1万円以上の切符を、新たに買いなおすことになるので大きな損失です。それを踏まえると、東京駅をまたいで、別々の割引切符を利用するのはお勧めできません。
下記は学割を利用した場合の運賃になります。自由席は、東海道新幹線の自由席と、東北新幹線の指定席料金を合わせた額です。
学生割引 | グランクラス37,950円 グリーン 32,710円 指定席 22,980円 自由席 22,240円 | 学生証掲示で2割引 |
ツアー(鉄道)
次にツアーを見ていきます。ここでは鉄道の個人ツアー(1人)、東北地方から名古屋への往復の旅行ツアー、新青森駅発を例に取り上げます。なお、例にあげるツアーは青森新青森間の在来線の運賃を含みません。
![]() ![]() | 新青森駅⇔東北新幹線⇔ 東京駅⇔東海道新幹線⇔名古屋駅 | すべて込み 43,000円~ | 別々に予約した場合 新幹線:24,930円x2 ホテル:5,000円~ 合計:54,860円~ |
ツアーの最安値は、43,000円です。これらを別々に予約すると54,860円かかりますが、差額にすると11,860円も安くなります。これは1人で1泊の料金なので、人数を増やすか宿泊数が増えれば、その分の料金は増えます。また、夏季や行楽シーズンはこれよりも高くなります。さらに、ホテルの料金は5,000円としていますが、高級ホテルに宿泊すれば料金は増えます。これを片道当たりの料金に計算(ホテル代5,000円を引いて運賃を2で割る)すると、19,000円です。この区間は割引切符がないので、ツアーを利用する方法が、鉄道の運賃を安くする唯一の方法になります。これだけ料金が安いのは、移動距離が長く、利用者があまり多くないのが理由と思われます。料金もさることながら、ホテルと交通費を一括で予約できるので、別々に予約する手間を減らせます。
飛行機(ANA)
![]() | 名古屋駅⇔空港バス⇔ 名古屋飛行場⇔飛行機⇔青森空港 ⇔空港シャトルバス⇔青森駅 | 名古屋バス:700円 飛行機:9,900円~ 青森バス:860円 合計:11,460円~ | 名古屋バス:約20分 飛行機:1時間20分 青森バス:約40分 合計:約3時間20分 |
次に飛行機を見ていきます。飛行機はフジドリームエアラインが、両都市間を運行しています。運行本数は1日3便のみです。運賃は最安値のものでLCC並みの9,900円、空港連絡バスも含めた合計は11,460円です。これは最安値の航空券で、直近の航空券を予約するともう少し高くなり、混雑シーズンになると、新幹線よりも高くなる日もあるでしょう。移動時間は、待ち時間の+1時間を含めて3時間20分です。新幹線と比較すると、こちらの方が速いです。
名古屋青森間の飛行機は名古屋飛行場(小牧空港)発着なので、名古屋では空港バスを利用して移動します。長い距離ではありませんが、渋滞などで時間がかかることがあります。空港までの鉄道はありません。青森市側もバスを利用します。青森空港は、青森市の郊外に位置しているので、乗り換え時間も含めると40分程度かかります。
まとめ
以上をまとめると、一番コストパフォーマンスが高いのは、交通費、移動時間とともに飛行機です。新幹線は、割引切符がないうえに運賃も高く、移動時間も長いのがデメリットです。新幹線の移動の場合、乗り換え回数の少なさがメリットになるのですが、この場合、東京駅と新青森駅でそれぞれ乗り換えが発生するため、乗り換え回数は飛行機と変わらなくなります。一方、鉄道で往復移動する場合、宿泊する予定であれば、ツアーを利用するのが交通費節約の良い手段になるでしょう。
移動手段比較
通常運賃 | 移動時間 | 備考 | |
新幹線 | 24,930円 | 5時間58分 | 複数割引切符を、組み合わせて安くすることは可能 |
ツアー | 19,000円~ | 〃 | 青森新青森間の、在来線区間は含まない |
飛行機 | 11,460円~ | 約3時間20分 |