近畿地方の中心である大阪と九州地方の中心である福岡は、約610km離れており、この区間の移動手段は山陽新幹線・高速バス(夜行)と飛行機の3つの選択肢があります。それぞれの選択肢について運賃・移動時間・快適性を比較していきます。大まかに比較すると以下になります。
運賃:高速バス≦飛行機(LCC・格安航空券)≦新幹線
移動時間:新幹線<飛行機<高速バス
山陽新幹線
大阪駅⇔東海道線 ⇔新大阪駅⇔山陽新幹線 ⇔博多駅 | グリーン車21,890円/21,150円 指定席 15,820円/15,080円 自由席 14,750円 | のぞみ みずほ・さくら 2時間50分 ひかり 3時間35分 こだま 4時間46分 |
まず山陽新幹線を利用した場合を見ていきます。料金は自由席の14,750円からです。この料金は、下記の割引切符やツアー商品を利用することでさらに安くできます。
e特急券 | 21,710円(グリーン車) 15,640円(指定席) 14,700円(自由席) | 会員制 当時予約可能 |
EX予約サービス | 21,880円(グリーン車) 15,810円(指定席) 14,770円(自由席) | 有料会員 当日予約可能(早特は3日前) |
スマートEX予約サービス | 21,440円(グリーン車) 15,370円(指定席) 14,920円(自由席) | 無料会員 当日予約可能 |
スーパー早特きっぷ | 13,100円(指定席) | 14日前まで購入可能 |
Westerポイント特急券 | 14,700円(指定席) | 500ポイント利用 |
Westerポイントアップ グレードグリーン | 15,700円(グリーン車) | 1000ポイント利用 |
金券購入 | 16,660円(グリーン車) 13,210円(指定席) 12,380円(自由席) | |
学割 | 19.190円/19,930円(グリーン車) 13,120円/13,860円(指定席) 12,790円(自由席) | 学割証明必要 |
バリ得こだま・ひかり | 11,300円~14,700円 | 日本旅行商品 |
大阪博多間は割引切符や商品が多く充実しています。これら料金の幅は11,300円~21,440円です。この中で一番安いのはバリ得の11,300円、次が金券の自由席12,380円です。指定席、グリーン車に関してはe特急券、EXサービス、Westerポイントアップグレードを利用することで割引できます。また、この区間は往復割引が適用されるので、一部の切符は下記のようにさらに安くできます。
往復割引
通常の切符 | 20,170円/20,910円(グリーン車) 14,100円/14,840円(指定席) 13,770円(自由席) | |
e特急券 | 20,730円(グリーン車) 13,720円(自由・指定席) | 会員制 当時予約可能 |
EX予約サービス | 20,900円(グリーン車) 14,660円(指定席) 13,690円(自由席) | 有料会員 当日予約可能(早特は3日前) |
スマートEX予約 | 21,080円(グリーン車) 14,830円(指定席) 13,940円(自由席) | 無料会員 当日予約可能 |
学割 | 18,400円/19,140円(グリーン車) 12,330円/13,070円(指定席) 12,000円(自由席) |
移動時間は最速のみずほ・さくら・のぞみでは約2時間50分です。これは大阪駅と新大阪駅間の在来線と乗り換えも含む移動時間です。大阪駅が起終点の場合、新大阪駅で乗り換えがあるので、ここでの乗り換え時間によっては、これ以上かかることもあります。バリ得ひかりやこだまを利用する場合は、約3時間30分~4時間50分の移動時間です。運行本数は多く1時間辺り5本~7本あり、大部分はのぞみ・さくら・みずほといった速達列車で、こだまに関しては特に新大阪博多間を結ぶ列車は少なく、1日辺り7本しかありません。
新幹線+宿泊パックツアー・バリ得を利用する
大阪もしくは福岡で1泊以上するのであれば、ホテルとセットになったツアーを利用する方法も有効です。これは新幹線もしくは、飛行機の移動と宿泊がセットになったツアーパックで、別々に予約するよりも安い運賃で利用できます。具体例をあげてみていきます。
新大阪⇔山陽新幹線 ⇔博多駅(往復・ホテル1泊) | すべて込み 約28,300円~ | 別々に予約した場合 運賃:14,750円x2 ホテル:5,000円~ 合計:34,500円~ |
ツアーは山陽新幹線の往復とホテル料金が含まれます。すべて込みで28,300円ですが、別々に予約すると最低でも34,500円もかかります。差額は6,200円にもなります。価格も安くなりますが、ホテルと合わせて予約できるので、別々に予約・購入する手間が省けるのもメリットです。
バリ得
また、日本旅行が販売しているバリ得こだま・ひかり、また、さくら・つばめという格安切符も利用できます。これは新大阪・新神戸⇔中国・九州地方の各駅間で利用できる日本旅行のツアー商品で、1人利用可、座席指定可能、前日まで購入可能な、通常価格よりも大幅に安い切符です。価格は上記にある通り、新大阪博多間は11,300円です。14,700円は繁栄期(ゴールデンウィーク・夏季・年末)の価格です。この価格には大阪新大阪間の運賃は含まれないのですが、それでも自由席の切符が約14,750円なのを考えると、非常にコストパフォーマンスが高いです。
高速バス(夜行バス)
難波・梅田・桜島駅⇔ さくら観光バス⇔小倉駅・博多 | 3,800円~7,200円 | 21時発8時着 | |
大阪駅・なんばOCAT⇔ オリオンバス⇔小倉駅・博多 | 3,700円~6,300円 | 21時発6時着 | |
USJ・梅田⇔ウィラー⇔ 小倉駅・西店天神BT・博多BT | 4,200円~7,600円 | 21時発6時着 | |
大阪駅⇔ニュースター号⇔博多 | 5,300円~8,300円 | 22時発7時着 | |
なんばOCAT・USJ⇔ ユタカライナー⇔博多 | 4,200円~8,000円 | 22時6時着 |
次に高速バスでの移動を比較します。全部で5社が運行していますが、日中に運行されるバスはありませんので、すべて夜行バスです。いずれも、梅田または、なんば、博多バスターミナルまたは、HEARTSバスステーション博多を発着としています。運賃は安いもので3,700円、高いもので8,300円ですが、各バス会社を比較すると、運賃に大きな差はありません。上記運賃は日によって上下もするので、リアルタイムの安い運賃は、直接バス会社のサイトなどで調べる必要があります。いずれも、21~22時発、7時もしくは7時前に到着するバスが多いです。長距離を走るバスなので到着時間が遅いです。比較すると、小倉が起終点であれば、さくら観光バス・オリオンバス・ウィラーエクスプレスが選択肢に入ります。また、USJであればウィラーかユタカライナー、難波であれば、オリオンバス・ユタカライナーが、天神が起終点の場合はウィラーが候補になります。もっとも、梅田難波間と、博多天神間はそこまで離れているわけではありません。地下鉄1本で移動できます。こだわりがなければ、この中で乗車日の運賃が安いバスを選ぶのが賢い選択肢だと思います。
飛行機(格安航空券伊丹経由)
大阪梅田丸ビル⇔ 伊丹空港線バス⇔伊丹空港 ⇔ANA・JAL⇔福岡空港 ⇔市営地下鉄⇔博多駅 | バス:650円 飛行機:8,370円~ 地下鉄:260円 合計:9,280円~ | バス:30分 飛行機:1時間15分 地下鉄:5分 合計:約3時間 |
次に飛行機での移動を比較します。伊丹空港経由と、関西空港経由(LCC)の2つがあるので、まずは伊丹経由からです。こちらはANA・JALの格安航空券を利用します。最安値の航空券は8,370円からあり、次に安いものでも10,000円の航空券があります。合計すると、9,280円。おおよそ10,000円の運賃です。飛行機自体の移動時間は早いのですが、待ち時間、乗り換えなどを含めるとおおよそ3時間程度を見積もります。最速の、のぞみ・みずほ・さくらの新幹線より少し遅い程度の時間になります。この区間の運行本数は非常に多く、1日10本、早朝・深夜以外はどの時間帯も運行されており利用しやすいです。このルートのデメリットとしては、乗り換えが2回ある点です。しかし、伊丹の場合は空港と駅間の移動はそれほど長くなく、また福岡側も博多空港間は5分程度の移動で済みます。そもそも、新幹線の移動でも新大阪で乗り換えがあると考えると、乗り換えがそれほど大きな負担になるわけではありません。
飛行機(関空経由・LCC利用)
大阪梅田⇔空港バス ⇔関西空港第二ターミナル ⇔ピーチ⇔福岡空港 ⇔市営地下鉄⇔博多駅 | バス:1,600円 飛行機:5,720円~ 地下鉄:260円 合計:7,580円~ | バス:約1時間1分 飛行機:1時間15分 地下鉄:5分 合計:約3時間30分 |
次に関空のLCCを利用するケースを見ていきます。この場合、ピーチが就航しているのでそれを利用します。料金は最安値で5,720円からで、合計では空港と駅間の運賃を含めて7,580円です。伊丹経由よりも安いですが、LCCは時間帯によって大きく運賃が変わるので、これよりも高くなる、伊丹経由よりも高くなるケースがあります。移動時間は、すべてを含めると約3時間30分です。大阪都心(梅田)と関空の間の移動時間がかかるので、伊丹経由よりも時間がかかります。運行本数はLCCの場合は少なく、1日辺り4本しかないので時間の融通は利きません。伊丹経由と比べると、安い航空券が購入できれば関空経由の方が良いですが、そうでない場合、伊丹経由の方が安くなれば、運行本数も多く移動時間も短い伊丹経由の方が便利でしょう。なお、出発地・目的地が大阪南部の場合はその限りではなく、移動時間の面では関空経由の方が短くなります。
まとめ
以上をまとめると、運賃が一番安いのは夜行バスです。日中の移動に関しては飛行機が安いですが、LCCか格安航空券かいずれかは、料金の変動があるので日によって異なります。新幹線は高いですが、バリ得こだま・ひかりを利用することで安くでき、この料金は飛行機よりも安くなるケースがあります。コストパフォーマンスを考えると、バリ得よりも少し高いツアーも選択肢に入るでしょう。
移動時間比較早見表
移動手段 | 通常運賃 | 最安値運賃 | 移動時間 | 備考 |
山陽新幹線 | 14,750円 | 11,300円 | 2時間50分~ | 最安値はバリ得。 |
夜行バス | 3,700円~8,300円 | ———— | 21時発7時着 | |
飛行機(伊丹経由) | 9,280円~ | ———— | 約3時間 | |
飛行機(関空経由) | 7,580円~ | ———— | 約3時間30分 | |
ツアー | 11,650円~ | ———— | 2時間50分~ | 宿泊費を除いて片道の料金で計算 |