新幹線と在来線の乗り継ぎ、特定都区内制度とは?

在来線都区内制度適用の駅、新橋。運賃の割引制度
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特定都区内制度とは、運賃の計算方法において、一部の大都市を発着点とする場合、その大都市の中心駅を起終点として運賃を計算する制度です。改札の業務の簡素化を目的として導入された制度であり、高度成長期に導入されました。ここでは、この制度を具体的に解説していこうと思います。

特定都区内制度のルール

  • 11の大都市が対象

札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・北九州・福岡の主要駅とその周辺の駅が対象です。対象になる駅についてはこちらですべて確認できます。対象になるのはJRの駅のみであり、私鉄、地下鉄、路線面電車は対象になりません。また、上記大都市圏の中でも対象にならない駅も多くあり、例えば東京エリアでも千葉、埼玉や東京23区外の駅は対象になりません。大都市圏すべての駅で適用されるわけではありません。

・片道201km以上の移動が対象

上記大都市の中の駅と、別の地方で乗降する駅間の距離が201km以上の場合が対象です。起終点いずれも上記大都市の駅の場合は、どちらもこの制度が適用されます。

簡単に言うとどのような制度なのか?(具体例)

具体例を上げて説明します。

区間(距離281km)都区内制度による運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号金山→東海道線→名古屋
→東海道・山陽新幹線→姫路
8,240円
山陽新幹線ひかり・こだま号名古屋→東海道・山陽新幹線→姫路8,240円
*料金は、自由席の料金を表示。

例えば名古屋駅周辺を起点とする場合、金山駅を起点として名古屋駅を経由、姫路駅まで移動する場合は、金山名古屋の区間の運賃は計算されず、名古屋駅を起点として運賃が計算されます。実質的には運賃の割引であり、名古屋駅、金山駅どちらを起点にしても同じ運賃8,420円です。

一方で、上記の例で終着駅を英賀保駅(姫路駅から下りで1駅先)にした場合はどうなるでしょうか?

区間(283km)都区内制度による運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号金山→東海道線→名古屋
→東海道・山陽新幹線→姫路
→山陽本線→英賀保駅
8,570円
山陽新幹線ひかり・こだま号名古屋→東海道・山陽新幹線→姫路
→山陽本線→英賀保駅
8,570円
*料金は、自由席の料金を表示。

この場合、金山名古屋間は計算されませんが、姫路英賀保間は都区内制度の対象外のため、運賃が計算されます。具体的には、名古屋駅から英賀保駅までの距離に基づいて運賃が計算されます。

距離が201km以下の場合

区間(114km)都区内制度による運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号浜松→東海道新幹線→名古屋
→東海道線→金山
4,690円
山陽新幹線ひかり・こだま号浜松→東海道新幹線→名古屋
4,510円
(名古屋金山間-180円)
*料金は、自由席の料金を表示。

都区内制度の対象になる駅を利用しても、移動距離が201km以下の場合は対象になりません。上記の場合、名古屋金山間の料金180円が追加されます。

大都市間の移動(201km以上)

区間(285km)都区内制度による運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号吉塚→鹿児島本線→博多
→山陽新幹線→広島
→山陽本線→向洋
8,570円
山陽新幹線ひかり・こだま号博多→山陽新幹線→広島8,570円
*料金は、自由席の料金を表示。

上記は、都区内制度が適用される大都市の駅間を利用するケースです。いずれも主要駅(博多、広島)間の運賃と同額の8,570円になり、在来線の部分には運賃がかかりません。

大都市間の移動(201km以下)

区間都区内制度による運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号吉塚→鹿児島本線→博多
→山陽新幹線→小倉
→鹿児島本線→門司
2,520円
山陽新幹線ひかり・こだま号博多→山陽新幹線→小倉
→鹿児島本線→門司
2,160円
*料金は、自由席の料金を表示。

上記は福岡と北九州を新幹線で行き来する場合です。この場合、201km以下なので都区内制度は適用されず、在来線の移動距離も含めて料金が計算されます。

東京都区内制度(山手線内の駅を発着とする場合の特例)

都区内制度の東京エリアうち、山手線の駅を発着とする場合と、東京駅から101~200km以内の駅間であれば、この制度が適用され、東京駅を発着として計算されます。

区間(183km)都区内制度による運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号浜松町→山手線→東京
→東海道新幹線→静岡
5,940円
山陽新幹線ひかり・こだま号小岩→総武・山手線→東京
→東海道新幹線→静岡
5,940円
山陽新幹線ひかり・こだま号東京→東海道新幹線→静岡5,940円
*料金は、自由席の料金を表示。

いずれのケースでも小岩と東京、浜松町と東京間の在来線の運賃は計算されません。

特定都区内制度が適用されない特殊な例(割引切符やネットでの購入)

この特定都区内制度は一部の切符では適用されないケースがあります。それはExサービスで切符を購入した場合と、eチケット(早特切符やえきねっとトクだ値など)を購入した場合です。Exサービスの切符で適用されない事例は下記で解説しているので参考にしてください。

Exサービスで特定都区内制度が適用されない例

eチケットで適用されないケース(えきねっとトクだ値)

区間eチケット運賃通常運賃
(都区内制度適用)
えきねっとトクだ値(25%)
東北・北海道新幹線浜松町→山手線→東京
→東北新幹線→新青森
17,670円17,470円13,260円
東北・北海道新幹線東京→東北新幹線→新青森17,470円17,470円13,090円
*料金は、はやぶさの指定席の料金を表示。

JR東日本のeチケットではこの都区内制度が適用されず、eチケットで購入した場合、通常の運賃よりも割高になります。この場合、eチケットでは、浜松町から新青森までの距離で計算されるので、200円高くなります。

同様に、早割切符であるトクだ値(14日前購入)でも都区内制度は適用されません。この場合、浜松町東京間の170円が割引切符の値段にプラスされます。JR東日本以外でも、早割で安くできる切符については同じことが言え、在来線を利用する場合は、在来線区間の運賃が加算されます。もっとも、この割引切符自体は、通常運賃よりも安いので、実質的には通常の運賃よりも安くなることに変わりありません。

上記のえきねっとの場合、都区内制度が適用されないからと言っても、ネットの購入でも在来線と新幹線、特急を利用する区間を合わせて購入はできます。ただし、eチケットに関しては、通常の切符の値段よりも高くなるので、その点は注意が必要でしょう。