ここでは東京と北海道(札幌)の移動について、移動手段を比較していきます。両都市間は800km離れており、移動手段は新幹線と特急、飛行機、フェリーの3つの手段があります。飛行機は、羽田空港と成田空港間で多数運行されており、近隣の茨城空港からも運行されています。フェリーは大洗港と苫小牧港間を運行するフェリーが利用できます。ここでは、東京駅と札幌駅を起終点として、各交通手段を比較していきます。
鉄道(東北・北海道新幹線、特急北斗号)
東京駅⇔東北・北海道新幹線⇔ 新函館北斗⇔特急北斗号⇔札幌駅 | 指定席:29,350円 グリーン席:41,880円 グランクラス:50,260円 | 約8時間15分 |
鉄道は東北・北海道新幹線を東京新函館北斗間で利用、新函館北斗札幌駅間は特急北斗号を利用します。この場合、最安値でも指定席の29,350円と高額です。新幹線でグランクラスを利用すれば50,260円になります。移動時間は新函館北斗駅での乗り換えも含め、約8時間15分です。ほぼ1日を移動に費やすといっても過言ではないでしょう。運行本数自体は新幹線、特急いずれも数時間に1本あります。ただし、移動時間の長さゆえに、早朝からお昼に乗車して、夕方から夜に到着する便になるので、時間の融通は利きにくいです。JR東日本とJR北海道の区間をまたぐ利用になりますが、トクだ値を利用することで安くできます。下記が割引を利用した運賃です。
トクだ値14 | 指定席 24,000円~ | 25~30%割引 |
学生割引 | グランクラス 47,090円 グリーン席 38,710円 指定席 26,180円 | 学割証掲示で20%割引 |
最安値はJR東日本、JR北海道区間のそれぞれを、一番割引率の高いトクだ値で利用した場合の24,000円です。新幹線区間と特急区間は別々の割引になります。
これらを踏まえると、料金の高さや移動時間の長さで、鉄道は選択肢にはならないでしょう。格安航空を利用した方が圧倒的にコストパフォーマンスは高いです。ただし、2030年に北海道新幹線の開業を控えており、新函館北斗札幌間が延伸することで、移動時間が大幅に短縮され、状況が変わる可能性があります。その場合、東京博多程の移動時間とほぼ同じになり、ある程度、飛行機と競合する可能性もあります。東京札幌間のお先にトクだ値の切符が設定され、現在よりも安く移動できるかもしれません。
ツアー(鉄道)
次にツアーを見ていきます。ここでは鉄道の個人ツアー(1人)、東京から札幌への旅行を例に取り上げます。
東京駅⇔東北・北海道新幹線⇔ 新函館北斗⇔特急北斗号⇔札幌駅 | すべて込み 43,200円~ | 別々に予約した場合 特急:29,350円x2 ホテル:5,000円~ 合計:63,700円~ |
このツアーの場合は、最安値43,200円です。これらを別々に予約すると63,700円、差額にすると20,500円安くなります。これは1人で1泊の料金なので、人数を増やすか宿泊数が増えれば、その分の料金は増えます。また、夏季や行楽シーズンはこれよりも高くなります。さらに、ホテルの料金は5,000円としていますが、高級ホテルに宿泊すれば料金は増えます。いくらツアーでも、通常料金に対してここまで安いのか?と疑問に思うのですが、これは移動時間がかかりすぎるために、これくらいの値段にしないと、申し込む人がいないのが理由だと思われます。これを片道当たりの料金に計算(ホテル代5,000円を引いて運賃を2で割る)すると19,100円になります。料金もさることながら、ホテルと交通費を一括で予約できるので、別々に予約する手間を減らせます。
成田空港経由・LCC(格安航空)
東京駅⇔エアポートバス⇔成田空港第3ターミナル ⇔Peach・ジェットスター⇔新千歳空港 ⇔快速エアポート⇔札幌駅 | バス:1,500円 飛行機:6,440円~ 鉄道:1,150円 合計:9,090円~ | バス:約1時間5分 飛行機:約1時間50分 鉄道:約40分 合計:約4時間35分 |
はじめにLCC(格安航空)を見ていきます。この場合、成田空港を利用します。成田新千歳空港間にはジェットスター、ピーチ、スプリングジャパンの3社が運行しています。航空券の最安値は6,440円からです。東京駅から成田空港までのバス、千歳札幌間の快速エアポートを含めると9,090円です。東京成田間は特急や快速列車を利用する方法もありますが、特急は料金がバスよりも高くなり、バスよりも安い京成鉄道や総武線は料金が安くなるものの、乗り換えが複数発生します。バスは比較的安いうえに乗り換えがないので、東京に慣れていない人でも利用しやすので候補に選びました。新千歳札幌間は高速バスもありますが、鉄道が最安値です。なので定時制の高い鉄道を選択しました。LCCは直近の航空券価格でも比較的安く、10,000円以下のものが多いのが特徴です。セール価格になれば、5,000円を下回るものも出てくるので、安く移動したいのであればLCCが一番良いでしょう。
移動時間はバス、鉄道と待ち時間も含めて約4時間35分です。待ち時間を短縮すれば、4時間くらいまで短くすることが可能でしょう。バスによる遅れですが、渋滞が生じて遅れる可能性はあります。ただ、空港連絡バスである以上、そのあたりは考慮されており、混雑の度合いを見て渋滞する道路を避けて通るなどの配慮をしています。どうしても遅れが心配であれば、成田エクスプレスを利用するのが良いでしょう。運行本数は16本運行されているので、選択肢は多いです。ただし、早朝の便や夜遅くの便は運行されていないので注意が必要です。
LCCを利用する際の注意点
格安航空(LCC)はその安い価格がメリットですが、ピーチやジェットスターなどのウェブサイトで直接予約する場合、予約便の変更・キャンセル・受託手荷物・座席指定ができません。これらは有料になるので、上記の価格に+手数料が必要になります。もしくは、これらサービスを利用したい場合、それらサービスを含めたオプションを選択する方法があります。若干値段が高くなりますが、上記のサービスが利用できます。
例えばピーチ便の場合、シンプルピーチ(機内持ち込み手荷物のみ)、バリューピーチ(変更・キャンセル・受託手荷物・座席指定あり)、プライムピーチ(バリューピーチのサービスに加え、受託手荷物2個、スマートシート指定無料)の3つがあります。シンプルピーチの場合上記の価格ですが、バリューピーチはこれより高く、プライムピートになると10,000円を超えます。
これが意味するところは、いくら格安航空とはいえ、オプションを追加すると値段が高くなるということです。さすがに通常の航空券2万~4万のものよりは安いですが、JAL・ANA、もしくはスカイマークなどの格安航空券と大して変わらない値段になることもあります。それを考えると、とにかく安く移動したいのであれば、余分なオプションはつけない方が良いでしょう。
羽田空港経由(スカイマーク・JAL・ANA・ソラシドエアー)
東京⇔山手線・モノレール⇔ 羽田空港⇔飛行機⇔新千歳空港 ⇔快速エアポート⇔札幌駅 | 鉄道:690円 飛行機:8,640円~ 鉄道:1,150円 合計:9,790円~ | 鉄道:約30分 飛行機:約1時間35分 鉄道:約40分 合計:3時間45分 |
*移動時間は待ち時間を+1時間加算した時間を表示
次に羽田空港の航空便を比較します。こちらは便数が多く、JAL、ANA、スカイマーク・AIR・DOの4社が運行しています。最安値の航空券は、スカイマークで8,640円台の航空券が購入できます。ただし、これは最安値なので、安いものでは10,000円台の航空券が多いです。それを踏まえると合計13,000円くらいと見積もると良いでしょう。JAL・ANAの航空便になるとさすがに高いですが、それでも13,000円の航空券もあります。通常の運賃は40,240円~49,800円です。
移動時間は鉄道と待ち時間を合わせて約3時間45分です。都心から近い分、成田空港のLCCに比べて移動時間が短いです。また、空港と駅間の移動はすべて鉄道なので、基本的に遅れが生じることはありません。浜松町駅で乗り換えがあるため、慣れていないと大変ですが、乗り換えが不満であれば、東京駅羽田空港間の連絡バスを利用する方法もあります。
運行本数は非常に多く、1時間当たり3~4本運行されています。この区間は世界的に見ても運行本数が多い区間として知られており、朝の6時から夜の10時まで高頻度で運行されています。
茨城空港経由(スカイマーク格安航空券)
東京駅⇔常磐線⇔石岡駅 石岡駅⇔空港連絡バス⇔茨城空港 ⇔スカイマーク⇔那覇空港 | バス,鉄道:2,220円 飛行機:9,070円~ 合計:11,290円~ | バス,鉄道:約2時間15分 飛行機:1時間25分 合計:約4時間40分~ |
最後に茨城空港発着のスカイマーク便を見ていきます。格安航空券は最安値9,070円台から利用できます。移動時間は、東京駅からの鉄道とバスを含めて約4時間40分です。東京と空港間には高速バスが運行されていますが、発着いずれもバスとの接続時間が悪すぎるため利用できません。空港で数時間待つことになります。そのため、東京から茨城空港まで行く場合、常磐線と連絡バスを利用します。
移動時間でみると成田とほぼ同じですが、飛行機での移動よりも鉄道の移動時間の方が長いのでしんどいです。それならば成田や羽田の航空便を利用した方が良いでしょう。茨城空港が選択肢になるのは、茨城県内を発着する場合のみでしょう。
ツアーを利用して移動する
飛行機を利用する場合、1泊以上ホテルで宿泊するのであれば、ツアーパックを申し込む方法もあります。これは1人以上から利用できるツアーを利用します。料金は往復の交通費+宿泊費を含んだ料金で、通常価格よりも安い値段で提供されています。ツアーのメリットは、通常価格より割引されるのと、ホテルと合わせて予約できる点です。また、別のサイトでホテルを予約する必要がなく、一括で予約ができるため、時間が節約できます。
フェリー(商船三井さんふらあ大洗フェリー)
東京⇔特急ときわ・ひたち⇔水戸 ⇔FTバス⇔大洗港 ⇔フェリーさんふらあ⇔ 苫小牧西港⇔高速バス⇔札幌駅 | 鉄道:4,540円 FTバス:650円 フェリー:9,500円~ バス:1,580円 合計:16,270円~ | 鉄道:1時間23分 FTバス:50分 夜発昼着 バス:1時間50分 夕方頃→日中3時以降着 |
最後にフェリーを見ていきます。フェリーは大洗と苫小牧を結ぶ「さんふらあ」を利用します。この場合、東京大洗間は特急とバスを乗り継ぎます。東京からフェリーターミナルへの直行バスは、現在運休となっており利用できません。北海道側では苫小牧西港と札幌を結ぶ高速バスを利用します。上記のように乗り換えが複数回あるのが特徴です。運賃は最安値で16,270円です。これはフェリーの料金が雑魚寝部屋であるツーリストの最安値の場合です。個室部屋であるコンフォートは12,500円、3000円の差額ですので、この場合19,270円になります。一見すると高いように見えますが、フェリーで1泊するため、この料金は宿泊費も含みます。それを踏まえるとコストパフォーマンスは高いです。移動時間については、上り下りいずれも夜発日中の1時~2時着なので、いずれも夕方発、日中(午後)着です。朝に東京もしくは札幌に着いてなければならないのであれば、飛行機を利用した方が良いでしょうが、制約のない個人旅行であれば、さほど問題にはならないと思います。
まとめ
以上をまとめると、安さを重視するなら成田空港のLCC、移動時間を重視するなら羽田空港の航空便が良いでしょう。特に移動時間の短さと、航空便の多さはとても魅力的です。もっとも羽田空港の航空便でもスカイマークなどの航空券が安いので、それらを利用できれば良いでしょう。鉄道は現在では選択肢にはならず、通常運賃よりも大幅に安い鉄道のツアーも、航空券の安さに比べるとかないません。フェリーは乗り換えの回数こそ多いものの、宿泊も兼ねていると考えているとコストパフォーマンスは良く、選択肢の1つには入るでしょう。
航空会社比較早見表
航空会社 | 運賃 | 最安値運賃 | 移動時間 | 備考 |
鉄道 | 29,350円 | 24,000円 | 約8時間15分 | 最安値はトクだ値14 |
ツアー | 19,100円 | 〃 | 宿泊費5,000円を引いて片道の運賃で計算 | |
成田空港からLCC | 9,090円~ | 約4時間35分 | 機内持ち込み・変更キャンセルはオプション (追加料金あり) | |
羽田空港から | 9,790円~ | 約3時間45分 | 移動時間が最も短い | |
茨城空港から | 11,290円~ | 約4時間40分 | 移動時間が長すぎる | |
フェリー | 16,270円~ | 夕方発日中着 | 料金は宿泊費を含む |